2025年11月20日に、日立製作所研究開発グループの国分寺サイトにて、技術交流会「2025 Technology Community」が開催されました。本イベントの講演セッションでは、「“Frontline Coordinator -Naivy” ~未来の現場のパートナー~」と題して、先端AIイノベーションセンタ ビジョンインテリジェンス研究部長の吉永智明が、フロントラインワーカー不足という社会課題に対し、「Naivy(ナイビー)」がどのようにAI技術を活用して解決策を提供するのかを紹介しました。
本講演の様子は動画にてご覧いただけます。
Naivyの効果を体感いただいた社内事業部門やお客さまのインタビュー動画や、実際にNaivyと業務する様子を示すデモンストレーション、Naivyの次の展開を示す人とロボットが協働する現場のコンセプトデモも交えた内容となっています。
“Frontline Coordinator - Naivy” 未来の現場のパートナー - 日立
www.youtube.com次世代AIエージェント「Naivy」 ―未来の現場のパートナ―
「Naivy(ナイビー)」プロジェクトは、フロントラインワーカー不足という世界的な課題に正面から向き合う取り組みです。現場のナレッジ(知識や技能)をAIで可視化し、非熟練者への教育や、熟練者の負担軽減を支援することを目的としています。また、夜間や危険環境での作業における安全性向上や、少人数でも高い生産性を維持するための迅速な判断を支援することで、作業員の心理的負担を軽減していくことをめざしています。
フロントラインワーカー不足への解決策
若手作業員の不足や技能継承の難しさ、現場の負荷増大による負のスパイラルが社会的に問題視されています。これに対し、Naivyは次のような解決策を提供し、現場での負担軽減と効率向上をめざします。
- 技能継承の支援
AIを活用して現場のナレッジを可視化し、非熟練者への教育を効率化。 - 安全性の向上
夜間や危険環境での作業において、現場の見える化で安全業務を支援。 - 生産性の維持
迅速な判断支援により、少人数でも高い生産性を実現。

Naivyの具体的な仕組みと日立独自の技術
Naivyのシステムは、大きく「AIエンジン」と「アプリケーション群」の2つで構成されています。AIエンジンは、事前に定義されたドキュメントやノウハウ、マニュアルを解析し、現場を深く理解します。さらに、日々蓄積されるデータや映像・音声を多角的に分析し、現場のナレッジを構造化・可視化します。また、アプリケーション群は、技術の伝承や危険予知訓練など、実際の現場で必要となる複数のアプリケーションを提供します。随時ラインナップを拡大していくことで、現場の価値向上に寄与します。
日立独自のフィジカルAIの技術が、このNaivyの実現を支えています。この技術は、情報を提示するだけでなく、作業員が作業の内容や、その意図や意味を理解して実行できるようにし、最終的に知恵として昇華できるよう支援する点が特徴です。
日立のフィジカルAIのコア技術
- VLM技術の活用
図面や設計者の意図をAIが判断可能な形で抽出し、これをナレッジとしてグラフ化して蓄積します。ナレッジグラフとして体系化されることでAIエージェントによる作業提案ができ、判断支援を実現。 - 実行支援
マルチモーダルAIを活用し、ナレッジグラフを現場機器や三次元データと結び付けます。これにより、現場のどの機器に対して作業を実行すればよいか、直観的に提示します。 - 解釈可能な知識提供
作業者が「これを実行すると何が起きるのか」「安全上問題ないか」を理解できるよう、複数の知識を解析し提供。
Naivyが描く未来
Naivyは、AIを活用して、フロントラインワーカーの「実行」と「学び」に踏み込んで支援することで、日立独自の強みを発揮しています。今後、Naivyがどのように進化し、現場の課題を解決していくのか。未来の現場支援を担うAIとして、フロントラインワーカーがより輝ける労働環境の実現をめざします。

プロフィール

吉永 智明
日立製作所 研究開発グループ
Digital Innovation R&D
先端AIイノベーションセンタ
ビジョンインテリジェンス研究部 部長
日立製作所入社以来、画像認識・映像解析AIの研究開発に一貫して従事。民生用ビデオカメラ向けの軽量な顔認識技術の開発や、米国鉄道会社向けのアセット管理支援に向けた顧客協創活動を推進。2024年4月より現職。社会インフラを支えるフロントラインワーカーの課題解決にむけて、本プロジェクトの立ち上げから牽引に取り組む。






