未来のためのヴォイス・メッセージ(Voice Messages for the Future)

地球規模の環境の悪化、戦争、エネルギー、経済の混乱は、世界中で必要な社会変革の努力を停滞させ、持続可能な開発目標の達成を危ぶませています。私たちは、どのようにこの危機のただ中から未来への道筋を見出すことができるでしょうか。

「未来のためのヴォイス・メッセージ」は、3つのヴァーチャルなミニディスク(MD)を通じて、持続可能な未来への希望を再び取り戻すための音と思索の経験を提供します。


気候変動、自然の喪失、長引く戦争、経済混乱、デジタル不安、政治的分断――。私たちは複雑な危機のただなかに生きることを余儀なくされています。

遠い将来の人々が私たちの世代の人々を振り返ったとき、どうすれば私たちは「よき祖先」として思い出されることができるでしょうか。現代の世界において、これから生まれてくる人々の安全で公正な生存をどのように守ることできるでしょうか。私たちは何を手がかりに、現在と未来の世代のための行動を続けることができるのでしょうか。

このプロジェクトは、現在の地球の危機に関わるこれらの重要な問いについての深い思索をうながすことで、あなたが未来との新たな関係を築くことを目的としています。

3つのヴァーチャルなミニディスク(MD)には、自己と未来との関わりについて考えるための心の余白を生み出すための音楽が記録されています。そして、社会哲学者、国際連合の指導者、そして気候運動家が残した、未来にかかわるヴォイス・メッセージを聞くことができます。

これらのディスクに込められた音楽や声を聴き終えるころには、あなたの中に未来に関する新しい感覚=「希望」が生まれているかもしれません。

デジタル・ブックレット

未来のためのヴォイス・メッセージについて、より詳しく知りたい方は、デジタル・ブックレットをご覧ください。

(日本語)デジタル・ブックレット
(英語)Digital booklet

「希望とは、未来へと身をささげることである。そしてその未来への誓約こそが、いまを生きるに値するものへと変えるのだ」。 ――レベッカ・ソルニット

3つのミニディスク

このプロジェクトは3つのヴァーチャルなミニディスク(MD)に収められた音声を通じて、あなたの中に新しい未来への感覚を生み出します。
デスクトップ・ブラウザーやスマートフォンを通じて、この不思議なディスクに耳を傾けてみてください。

Disc 01 Benyamin Nuss + Roman Krznaric

画像1: youtu.be

youtu.be

4部構成からなるBenyamin Nussのピアノ楽曲は、傷ついた土地、もしくは破壊された街のようなイメージからはじまります。曲調は決して絶望しておらず、そこに立つ一人の若き人を想像したくなります。音楽は、彼女もしくは彼が、深い内省や小さな気付きを通じて、内面的な変革を遂げていくすがたを描いているのかもしれません。
微細に展開するピアノ曲とシンクロするように語る社会哲学者のRoman Krznaricによるヴォイス・メッセージは、短期主義に陥っている現代の世界が「未来を植民地化している」ことを指摘します。これを転換することは、長期的な思考を実践することにほかなりません。

Disc 02 Wac-Lounge + Tshilidzi Marwala

画像2: youtu.be

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Wac-Loungeは、風が葉を揺らし、鳥の声が響く森の中に立ち、その音と対話するように、少しずつモジュラー・シンセサイザーを鳴らしていきます。それぞれの楽曲に表れている自然との調和の感覚は、人間と自然のあいだを優しく結びつけるもう一つの技術のあり方を感じさせます。
シンセサイザーが生み出す穏やかな木漏れ日のような音像の中で聞こえる国際連合大学のTshilidzi Marwala学長のヴォイス・メッセージは、「未来のための協定」や「将来世代に関する宣言」に言及しながら、若者たちが持続可能な成長のための挑戦の道を切り開いていくことを力強く呼びかけています。

Disc 03 Michael Louis + Clover Hogan

画像3: youtu.be

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Michael Louisのサウンド・ジャーニーは、都市のなかの視点にはじまり、街路や公園での喜びに満ちた軽やかな歩みを経ながら、やがて深い森のような場所に到達します。聞き手は、安らかな夢の中のような郷愁や瞑想の感覚が持続していくのを感じます。
気候活動家のClover Hoganのヴォイス・メッセージは、世界の気候対策の停滞や政治的反動に対する率直な感想を伝えています。しかし、彼女は、Rebecca Solnitが記したように、歴史の中の女性たちの闘争や、これから生まれてくる人々のことを想起することが、行動への決意を新たにしてくれることを教えてくれます。

(ミニディスクは、ソニーグループ株式会社の登録商標です。)

ヴォイス・メッセージと音楽

画像1: 未来のためのヴォイス・メッセージ(Voice Messages for the Future)

Roman Krznaric
“私たちは「よき祖先」(Good Ancestors)になる必要があります。将来の世代によき人々として記憶される必要があるのです。”

ローマン・クルツナリックは、変革をもたらすアイデアの力について執筆する社会哲学者である。彼の国際的なベストセラー書籍には、『グッド・アンセスター』『エンパシー』『ワンダーボックス』『カーペ・ディエム・リゲインド』などがあり、25以上の言語で出版されている。オックスフォード大学の「エウダイモニアと繁栄センター」の上級研究員であり、世界初の「エンパシー博物館」の創設者でもある。最新作『History for Tomorrow: Inspiration from the Past for the Future of Humanity』は2024年7月に出版された。ローマンは、ローマクラブのメンバーであり、ロングナウ財団の研究員でもある。

画像2: 未来のためのヴォイス・メッセージ(Voice Messages for the Future)

Tshilidzi Marwala
“次の世代をになう指導者たちは、他の人々が行動するのを待たず、自ら率先するでしょう。「未来のための協定」は、世界の指導者たちが若者の声に耳を傾け、意思決定に若者を関与させ、若者と協力してより公正で持続可能な未来を築くための誓約です。”

チリツィ・マルワラ教授は、国際連合大学の学長であり、国際連合事務次長である。2023年に国連大学の学長に就任する前は、2018年から2023年まで南アフリカのヨハネスブルグ大学の副学長兼校長を務めていた。マルワラ教授は、国連事務総長の科学諮問委員会のメンバーであり、25以上の著書がある。南アフリカ最高の栄誉であるマプングブエ勲章や、南アフリカ科学アカデミーの「社会のための科学」金メダルを受賞。

画像3: 未来のためのヴォイス・メッセージ(Voice Messages for the Future)

Clover Hogan
“今日、子どもとして成長している世代や、いまだ生まれていない世代が、彼らの祖先である私たちを振り返ることができるようにしたいのです。ちょうど私たちが1900年代の民衆の運動を振り返るように。”

クローヴァー・ホーガンは、気候活動家であり、気候不安を行動に変える若者の非営利団体「フォース・オブ・ネイチャー」の創設者でエグゼクティブ・ディレクターである。彼女は、世界の持続可能性に関する権威とともに活動し、Fortune 50企業の取締役会でコンサルティングを行い、国家元首たちに助言を行ってきた。ジェーン・グドールやヴァンダナ・シヴァなどの世界的な変革者とともに登壇し、第14代ダライ・ラマにインタビューを行った。彼女のTEDトーク「気候変動が止められないと感じたときに何をすべきか」は、これまでに200万回視聴されている。

画像4: 未来のためのヴォイス・メッセージ(Voice Messages for the Future)

Benyamin Nuss

ドイツ生まれ。ピアニストと作曲家としての幅広い技能を通じて、ロンドン交響楽団や東京フィルハーモニー交響楽団などと共演、自らの名前でドイツ・グラモフォンからの二つのソロ・アルバムを含む多数のアルバムを録音。ヨーロッパ各地でクラシック、ジャズ、現代音楽の演奏を続け、その豊かな才能で観客を魅了している。

画像5: 未来のためのヴォイス・メッセージ(Voice Messages for the Future)

Wac-Lounge

和久英明によるソロプロジェクト。エレクトロユニット eureka!名義で国内やドイツのレーベルから CD やアナログなどリリース。フランクフルトのフィルムフェスやベルリンなど 3 都市を回るツアーに出演。また BALLY などのブランドやコンピレーションに多数楽曲提供している。年始めにはロンドン NTS ラジオで 1 時間の Wac-Lounge ミックスを披露。コロナ以降、モジュラーシンセやテープレコーダーをモチーフにした音楽及び映像作品をインスタグラムにて発信中。

画像6: 未来のためのヴォイス・メッセージ(Voice Messages for the Future)

Michael Louis

アメリカ・カリフォルニア州オークランド生まれのプロデューサー、ミュージシャン、教育者。彼は Goapele の”Closer”のプロデューサーであり、Lalah Hathaway のキーボード奏者で、彼女がグラミー賞を受賞したライヴ音源にも参加している。このほか、Derrick Hodge の”Color of Noize”や Ambrose Akinmusire の”Origami Harvest”(Blue Note Records)でも共演。彼が立ち上げた Tiger’s Eye Music レーベルでは、デビュー・アルバム”Slept On”と最近のリリース盤”Shapes & Shades”がBandcamp でアクセス可能になっている。現在は、カリフォルニア州のベイエリアに妻と娘とともに暮らしている。

制作チーム

ヴォイス・メッセージ:Roman Krznaric, Tshilidzi Marwala, Clover Hogan
音楽:Benyamin Nuss, Wac-Lounge, Michael Louis
サウンド・エンジニアリング:二上大志郎(kusuguru), 佐藤宏平(Yuinchu)
デジタル・ブックレット:玉川克人
制作支援:大鰐亮(日立ドキュメント・ソリューションズ)
協力:国際連合大学, River Studios Cologne, Ralf Kemper
コンセプト・総合ディレクション:佐々木剛二(日立製作所)

お問い合わせ

本プロジェクトについては、日立製作所研究開発グループの「お問い合わせ」フォームにご連絡ください。

URL: https://www8.hitachi.co.jp/inquiry/hqrd/rd/jp/form.jsp

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人新世のための音響プラネタリウムモジュール(APMA-2000)

「未来のためのヴォイス・メッセージ」は、地球環境について思索と学びを促す一連の国際的なプロジェクトの一環です。

ヴィンテージ音響機器のようなインターフェイスをもったウェブサイト「人新世のための音響プラネタリウム・モジュール(APMA-2000)」は、地球環境について現在の最新の知識を学びながら、自然と調和する世界について静かに、深く思索するための瞑想的な時間を作り出します。
そのコンセプトは、さまざまな科学者、研究機関、アーティスト、ナレーター、デザイナーとの協業を通じて制作されました。
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人間がこの惑星に安全かつ公正に暮らし続けるためのプラネタリー・バウンダリーズとは?持続可能な世界へのトランジションとは?そして、日本における変革の道筋とは?
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画像4: youtu.be

youtu.be

出演:
ヨハン・ロックストローム(Johan Rockström, ポツダム気候影響研究所 所長/ポツダム大学 教授)
武内和彦(地球環境戦略研究機関(IGES) 理事長/東京大学 特任教授)
フランク・ヘルシュ(Frank Geels, マンチェスター大学 教授)
城山英明(東京大学 教授)
上山隆浩(岡山県・西粟倉村 地方創生特任参事)
鈴木朋子(日立製作所 技師長)
ベンヤミン・ヌス(Benyamin Nuss, ピアニスト・作曲家)
佐々木剛二(日立製作所 主任研究員(当時))

制作:日立東大ラボ
協賛:日立製作所研究開発グループ(協創の森ウェビナー)

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