日立グループの技術・ソリューション3件が、革新的な技術・製品を表彰する国際的なアワード「2026 R&D 100 Awards」を受賞しました。
受賞したのは、複雑な内面形状を有する製品の高精度化と品質安定化を実現する非接触式のレーザー測定装置「GlobeScan*」、新たな発電設備および需要設備の系統連系に関する信頼性・経済性評価を高速かつ高精度に実行する「電力系統接続計画の最適化ソリューション」、サプライチェーンのリスク管理、レジリエンス強化、およびコンプライアンス対応に関する意思決定を支援する「サプライチェーン・インテリジェンス・プラットフォーム」の3件です。
産業の未来において重要な3つの分野である「スマートマニュファクチャリング」、「エネルギートランジション」、「インテリジェントサプライチェーン」における日立の取組が評価されたものです。
日立グループは今後も、データとデジタル技術を活用したイノベーションを通じて、持続可能な社会の実現に貢献していきます。
*1)GlobeScanは、長野オートメーション株式会社の登録商標です。
R&D 100 Awardについて
R&D 100 Awardsは、毎年「R&D World」が主催する賞で、その年に開発された最も重要な新技術100件を表彰するものです。1963年に創設され、科学・工学分野におけるイノベーション表彰として長い歴史を持つ権威ある賞の一つです。64回目となる今回は、8カ国・地域から応募があり、世界各国の50名を超える専門家によって審査が行われました。本年の表彰式は、11月19日に、Grand Hyatt Scottsdale Resort (米国・アリゾナ州)にて開催される予定です。
日立グループの受賞の概要
| カテゴリ*1 | 受賞成果 | 受賞会社 | |
| 1 | ANALYTICAL/TEST | A Non-Contact Laser Dimensional Scanning Probe (非接触式 内面形状測定装置「GlobeScan」) | 株式会社日立製作所 株式会社日立ハイテク 長野オートメーション株式会社 |
| 2 | IT/ELECTRICAL | Hitachi Energy's Optimization product offering (Hitachi Energy 電力系統接続計画の最適化ソリューション) | Hitachi America, Ltd. Hitachi Energy, Ltd. |
| 3 | PROCESS/PROTOTYPING | Supply Chain Intelligence Platform (サプライチェーン・インテリジェンス・プラットフォーム) | Hitachi America, Ltd. |
*1)上記3つのほか、MECHANICAL/MATERIALS、SOFTWARE/SERVICES、OTHERの、計6カテゴリがあります。
受賞成果の詳細
(1)複雑な内面形状を有する製品の高精度化と品質安定化を実現する非接触式の
レーザー測定装置「GlobeScan」 【日立製作所、日立ハイテク、長野オートメーション】
製造現場では、製品性能に直結する複雑な内部形状を、高精度かつ安定して測定することが重要です。一方で、従来は、専用プローブを用いた抜き取り検査や手作業中心の検査に依存する場面が多く、段取り時間の長さ、作業者の熟練度への依存、品質保証のばらつきが課題となっていました。
「GlobeScan」は、こうした課題の解決を支援する非接触式のレーザー測定装置です。単一の非接触プローブを用いて、製造現場の実環境下でアクセスが難しい内部形状を三次元で全面測定することができます。
FMCW(周波数変調連続波)レーザー測距技術と独自の偏光制御技術を融合することで、直径6~100mmの幅広い対象に対し、側壁形状と深さ形状を同時に取得し、±5µmの測定精度を実現します。さらに、工場内の温度変動(10~35℃)の影響を受けにくく、毎秒10,000点の高速測定が可能です。これにより、プローブ交換や手動校正を必要としない、全数インライン検査への適用を可能にします。
本技術により、これまで製造工程のボトルネックであった内部形状測定の効率化と安定化が期待されます。製造業がPhysical AIの時代へ進化する中で、測定データを継続的に活用できるデジタルプロセスへの移行を後押しし、スマートマニュファクチャリングの推進と製造品質の向上に貢献します。
(2)エネルギートランジションを加速する「電力系統接続計画の最適化ソリューション」
【Hitachi America, Ltd.、Hitachi Energy, Ltd.】
電力会社や系統運用者は、再生可能エネルギー電源やデータセンターなどの大規模負荷を電力網へ接続すると同時に、重要なインフラの信頼性を維持しなければなりません。こうした接続を評価するためには複雑な送電系統解析が必要であり、その作業が電力網拡張の大きなボトルネックとなっています。
この課題の解決に向けて、Hitachi America R&DとHitachi Energyは、物理法則に基づく電力系統モデリングと高度な計算技術を組み合わせた、AIベースの電力系統計画ソリューションを共同開発しました。重要な計画判断に求められる解析精度を維持しながら、複雑な電力系統シミュレーションを大幅に高速化し、計画担当者がより短時間で多くのシナリオを評価することが可能になります。本技術により、電力網の拡張や急速に変化する発電・需要構成への対応が可能となるほか、電力会社がより確かな根拠に基づいてインフラ投資の意思決定を行うことを支援します。
(3)グローバルサプライチェーンの可視化と分析を高度化する
「Supply Chain Intelligence Platform」【Hitachi America, Ltd.】
企業は通常、直接取引のあるサプライヤーの状況は把握していますが、その先やさらにその先のサプライヤーで発生した状況まで把握することは容易ではありません。
状況を把握していないその先のサプライヤーで発生した問題や、特定地域への供給集中、重要原材料の供給停止などは、サプライチェーン全体に影響を及ぼす可能性があります。こうした深いレベルまでの可視化を実現するには、従来、多大な時間と労力を要するサプライヤー調査が必要でした。
「Supply Chain Intelligence Platform」は、Graph AIを活用し、時間のかかるサプライヤー調査を行うことなく、製品のサプライヤーネットワークを原材料の供給源まで含めて多層的に再構築します。
メーカーが保有している部品表などのデータをもとに、世界各国・地域の貿易情報、通関データ、コンプライアンス関連データを組み合わせることで、これまで見えなかったサプライヤー間の関係性や依存関係を明らかにします。
これにより、企業はサプライチェーン全体の実態を把握し、供給障害につながる可能性のあるリスクを早期に特定できます。地政学的リスクの高まりやサプライチェーンの複雑化が進む中、サプライチェーンリスク管理、レジリエンス強化、コンプライアンス対応、事業継続に関する意思決定を支援します。
イノベーションを事業価値、社会価値へ
受賞した3つの技術・ソリューションは異なる課題に取り組んだ成果ですが、いずれも日立の共通したイノベーションアプローチを体現しています。それは、物理世界への深い理解と豊富な業界知見を、高度なデジタル技術と融合することです。
GlobeScanは、よりスマートで自律的な製造を支える高精度センシングを提供します。電力系統接続計画の最適化ソリューションは、物理学と先進的な計算技術を活用して重要な電力系統の意思決定を加速します。そして、Supply Chain Intelligence Platformは、Graph AIを用いて複雑なグローバルサプライヤーネットワークの中に潜むリスクや関係性を可視化します。
日立グループは、今回受賞した技術・ソリューションにより、ビジネス課題や社会課題の解決につなげ、持続可能な社会の実現に貢献していきます。
関連情報
Presenting the 2026 R&D 100 Awards Winners
照会先
株式会社日立製作所 研究開発グループ


