走査電子顕微鏡を用いてサブナノメートルの精度でCu電極の高さ計測を実証
日立は、日立ハイテクと共同で、半導体のウェハ接合プロセス後の電気接続状態に影響を及ぼす、Cu電極パターンの微小段差を計測する画像処理技術を開発しました。
半導体集積の3次元化とともに、ハイブリッド接合と呼ばれる新たなプロセスが注目を集めています。このプロセスでは、ウェハ表面に形成したCu電極パターン同士を直接貼り合わせることで、2枚のウェハ間の高速かつ高密度な電気接続を実現します。この接続状態は、接合前のCu電極の段差に依存するため、この段差量の簡便かつ高精度な計測技術が望まれていました。
そこで今回、4つの方位角に配置された反射電子検出器を持つ走査型電子顕微鏡(以下SEM)を用いたCu電極の高さ計測技術を開発しました。浅い角度に放出される反射電子信号がサンプル表面の傾斜角度θに依存することに着目し、対向する検出器の信号差を用いて高さ指標値を算出します。ベルギーの国際研究機関imec*1と共同で性能および有効性の検証を行いました。原子間力顕微鏡(以下AFM)との比較実験により、開発した指標はCu電極の高さ変化に相関があり、段差量をサブナノメートルの精度で計測できる見通しを得ました。(図1)
今後、日立は、日立ハイテクとともに、ウェハ接合プロセスの普及に向け本技術の実用化を推進し、半導体の生産性向上に貢献していきます。
なお、本成果は2024年2月25日~29日に開催されたSPIE Advanced Lithography + Patterning 2024で発表されました。
*1 imec: ベルギーのルーヴェン市に本部を置く世界最大級の半導体研究開発機関。各国大学や企業と連携しリソグラフィ技術や太陽電池技術、有機エレクトロニクス技術など次世代エレクトロニクス技術の開発に取り組む。