自動運転技術をベースに、地域産業や観光の活性化に向けた取り組みの効率化に貢献

日立は、自治体等による自動運転を含めた交通サービスの導入促進に向け、鉄道やバスなどからなる地域交通全体の設計・評価・実装等の取り組みを効率化するデジタル基盤技術を開発しました。本技術により、交通難民の移動支援や観光資源の有効活用、オーバーツーリズムによる渋滞や環境負荷の低減などを実現することで、地域産業や観光の活性化や、データを活用した地域特有の課題解決に貢献します。

近年、少子高齢化や人口減少による地域交通の維持や、オーバーツーリズムによる交通渋滞など、地域に特有の課題が顕在化してきており、特に移動に関する課題について、解決手段として自動運転を用いた交通サービスの実証実験が各所で進められています。
日立では、これまで培ってきたインフラ協調*1を含む自動運転システムの技術をベースに、地域ごとの特性を考慮した交通全体の設計・評価・技術実装と、実機を用いた実証実験の一連の取り組みを効率化するデジタル基盤技術を開発しました。具体的には、人口変動や産業構造、観光資源などの地域特性の理解や交通流のシミュレーションにより、鉄道との接続まで考慮した地域の二次交通全体の走行ルート及び自動運転のためのインフラセンサーを含むODD*2などを設計・評価する技術、自動運転で得られた環境地図データを活用し道路各所に設置するインフラセンサー*3の調整を自動化する技術、さらに、一連の取り組みにおける評価結果をデジタル基盤上で共有し、より地域課題の解決につながる設計に見直すために迅速にフィードバックする技術です(図1)。

これらの技術を、一般社団法人うごく街*4と共同で行った山梨県南アルプス市での実証実験(図2)に適用した結果、地域社会に必要な自動運転車両の走行ルートをユーザーの意見を含む地域の特性データに基づいて迅速に設計するなど、上記一連の取り組みに要する工数の主要部を従来に比べ半減できることを確認しました。これにより、実現場での実証を含む評価サイクルを素早く繰り返すことが可能となり、地域と共に真に求められる交通サービスを作り上げていくことができます。
日立は今後も、デジタル技術を活用することで、自治体等による地域産業や観光の活性化などの地域特有の課題解決に貢献します。

画像: 図1 地域交通全体の設計・評価・実装・実証等の一連の取組みを効率化するデジタル基盤技術

図1 地域交通全体の設計・評価・実装・実証等の一連の取組みを効率化するデジタル基盤技術

画像: 図2 南アルプス市での実証実験 (※実験時は、安全性確保(事故リスク低減)のため、自動運転車両にドライバーと補助員の2名が必ず乗車)

図2 南アルプス市での実証実験
(※実験時は、安全性確保(事故リスク低減)のため、自動運転車両にドライバーと補助員の2名が必ず乗車)

*1 インフラ協調: 自動運転において、車両単独ではなくインフラセンサーから得られる情報を活用することで安全性や効率性を高める方式。
*2 ODD: Operational Design Domain (運行設計領域)の略。自動運転システムが作動する前提となる走行環境条件のこと。
*3 インフラセンサー: 道路周辺に設置され、交通情報、信号情報、危険情報などを自動運転車に提供する。
*4 一般社団法人うごく街:https://ugokumachi.org/

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株式会社日立製作所 研究開発グループ

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