「人新世のための音響プラネタリウム・モジュール」公開

株式会社日立製作所研究開発グループ・プラネタリーバウンダリープロジェクトは、ウェブサイト「人新世のための音響プラネタリウム・モジュール」(Audio Planetarium Module for the Anthropocene, APMA-2000)を公開しました。

このウェブサイトは、地球環境に関する最新の研究にもとづき、自然と調和する人間の未来について深く思索していただくために、音楽と声の力をもちいたユニークな瞑想的経験を提供します。

APMA-2000のウェブサイトにアクセス
(アクセス無料、登録不要)

www.boundaries-planetarium.earth

人類は、過去 1 万 2 千年の間に続いてきた安定した気候のもとで繁栄しました。しかし、「人新世」と呼ばれる私たちの文明の大加速は、今や生態系の不可逆的な破壊を引き起こし、人間自身の存続を脅かす、危険な軌道を突き進んでいます。科学者たちは、人類が地球上での生活を続けるために守るべき限界である「プラネタリー・バウンダリーズ」を明らかにしています。いま、私たちは自然と調和する世界をめざして社会のシステム的転換=「トランジション」を起こすことを求められています。

もし、私たちが、そのような変革を助けるようなテクノロジーをつくるとしたらーー。それを通じて、人々が現在の地球の状況に関する最も先進的な知識を学び、真に持続可能な未来への道筋を描くことができるとしたらーー。

APMA-2000 は、音楽と人間の声の力を通じて、自然と調和した人間のあり方をめぐる、かつてない瞑想的経験へとあなたをいざないます。

画像: “Moss Chronicles” - Wac-Lounge for APMA-2000

“Moss Chronicles” - Wac-Lounge for APMA-2000

主な特徴

ヴィンテージ音響機器のようなインターフェイスをもった本ウェブサイトは、3つのナラティヴ・チャンネルと5つの音楽チャンネルを備えており、学習用のヴァーチャル・カードを発出します。

ウェブ・ブラウザーを用いてご自宅などで音声を再生することで、地球環境について現在の最新の知識を学びながら、自然と調和する世界について静かに、深く思索するための瞑想的な時間を作り出すことができます。地球という惑星(プラネット)と私たちの未来について考えるためのプラネタリウムのような経験をお楽しみください。

ナラティブ・チャンネル
日本語と英語で6名のナレーターが(1)人新世、(2)プラネタリー・バウンダリーズ、そして(3)持続可能なトランジションというテーマについて、地球環境の最新の知見にもとづいて、ゆっくりと語ります。

音楽チャンネル
日本、ヨーロッパ、アメリカの4名の音楽家が、モジュラー・シンセサイザー、エクスペリメンタル・ソウル、ディープ・アンビエント、コンテンポラリー・ピアノ、そしてLo-Fiサウンドを提供、自然と人間の関係についての思索の時間へと導きます。

カード
ナラティブや音楽の再生中に発出されるカードは、地球環境の現在の状況やそこからの変革について学び、考えるための科学的なダイアグラムや印象的な写真を示しています。画面をクリック/タッチすると図が拡大されます。

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アーティスト

人間と自然に関するあなたの観照と思索を導く音楽家とナレーターたち

画像: アーティスト

APMA-2000では、さまざまなアーティストをフィーチャーしています。

APMA-2000は地球環境についての新たな見方を提示する手段としての音楽に焦点を当てています。ドイツの作曲家・ピアニストBenyamin Nussは、印象主義やジャズを基礎としてさまざまな分野の音楽家とコラボレーションを続けながら、ヨーロッパを中心に頻繁なライヴ演奏を行っています。日本を拠点に活動するWac-Loungeは、モジュラー・シンセサイザーによる自動演奏を独自の映像表現とともにソーシャル・メディアに発信。アメリカ西海岸で活動するMichael Louisはジャズやソウルの著名アーティストとともにグラミー賞受賞作品などに参加しながら、宇宙的な広がりのあるエクスペリメンタル・ソウルというジャンルを開拓しています。そして、analog_mannequinはアナログ・メディアのノイズを取り入れたグリッチ・アーティストとして、ソーシャル・メディアで強い影響力を持つ作品を発信してきたほか、北米の音楽イベントなどのビジュアルを担当してきました。

日本語のナラティブは、テレビ番組や博物館でナレーターとして活躍する金子奈緒、FM番組のパーソナリティなどをつとめる山本航生、そしてアナウンサーやエッセイストとして日本国内で大きな人気を集める弘中綾香が担当しています。

英語のナラティブは、アメリカ西海岸でオルタナティブな経済学のための活動を展開するDella Z Duncan, イギリスでLGBTの権利のために活動を続ける社会活動家Marc Thompson、そしてロンドンを拠点にファッションや消費のあり方の転換を訴えるAja Barbarが担当しています。

イギリスのサウンド・アーティストSam Conranは、これらの複雑な要素を結びつけながら、独自の音響経験を実現しています。

きわめてユニークな音楽とともに、現在の地球環境についての語りに耳を澄ませることで、あたかも地球の環境についてのプラネタリウムにいるかのような、落ち着いた思索の音響空間に身をゆだねることができるのが、APMA-2000の特徴です。

アーティストについては、APMA-2000のAboutボタンからさらに詳しい情報を得ることができます。

音楽:Benyamin Nuss, Wac-Lounge, Michael Louis, analog_mannequin
日本語ナレーター:金子奈緒(FM BIRD)、山本航生(FM BIRD)、弘中綾香
英語ナレーター:Della Z Duncan, Marc Thompson, Aja Barber

画像: 東京のスタジオで行われた金子奈緒のレコーディング

東京のスタジオで行われた金子奈緒のレコーディング

画像: “Spirit Steps” - Michael Louis for APMA-2000

“Spirit Steps” - Michael Louis for APMA-2000

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チャンネル

APMA-2000 は3つのナラティヴ・チャンネルと5つの音楽チャンネルを受信します。

ナラティヴ・チャンネル
音楽とナレーションによって人間と自然にかかわる最新の科学的知見と、持続可能な未来へのトランジションについて考えるための3つのチャンネル。
チャンネル1 「人新世」
私たちの惑星の環境に何が起きているのか?
  1. 人新世とは何か?
  2. 産業革命
  3. 大加速
  4. 気候変動
  5. 第 6 の大量絶滅
  6. 資本主義の時代
  7. 人間と自然の関係
* 音楽: Benyamin Nuss
* ナレーション: 金子奈緒 (日本語) 、Della Z Duncan (英語)
チャンネル2 「プラネタリー・バウンダリーズ」
人類のための安全で公正な活動領域とは何か?
  1. プラネタリー・バウンダリーズ
  2. ティッピング・ポイント
  3. 9つの限界値
  4. 16 のティッピング・エレメント
  5. 食とわたしたちの地球
  6. 安全で公正なバウンダリー
* 音楽: Benyamin Nuss
* ナレーション: 山本航生 (日本語)、Marc Thompson (英語)
チャンネル3「トランジション」
自然と調和する人間の生のためのパスウェイとはどのようなものか?
  1. 私たちの時代のトランジション
  2. 気候レジリエントな世界に向かって
  3. 生物多様性と生態系を回復する
  4. ドーナツ経済学
  5. 成長の限界と万人のための地球
  6. トランジションをデザインする
  7. 海洋スチュワードシップのための約束
  8. 自然と調和する人間への変革
* 音楽: Wac-Lounge
* ナレーション: 弘中綾香 (日本語)、 Aja Barber (英語)
音楽チャンネル
地球における人間のあり方についての没入的思索をうながす、きわめてユニークなサウンド・ジャーニーを提供する5つのチャンネル。
M - Meditate I:
Wac-Lounge
  1. Name of the wind
  2. Moss chronicles
  3. Last stop
V - Vibe:
Michael Louis
  1. Sprit Steps
M - Meditate II:
analog_mannequin
  1. And all its contents
P - Piano:
Benyamin Nuss
  1. Preludes Op. 1 No. 3(前奏曲 作品1 第3番)
  2. Windspiele(風鈴)
  3. Letters Op. 9-S(手紙 作品9-S)
  4. Petite Piece for Clarinet and Piano Op. 4(クラリネットとピアノのための小品 作品4)
  5. Letters Op. 9-K(手紙 作品9-K)
F - Focus:
Michael Louis
  1. Prophet Chill
  2. Rhodes Chill
  3. 808 Chill
  4. Upright Chill
  5. Wurli Chill
FOCUS ボタンを押すと、勉強や仕事の時間にあなたに寄り添う Lo-Fi 音楽を再生します。

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使い方

0. https://www.boundaries-planetarium.earth/にアクセス。
1. APMA-2000 の電源を入れる。
2. 言語を選ぶ。
3. ラジオ・チューナーのランプをドラッグするか、ダイアルを回して、ナラティヴや音楽のチャンネルをさがす。
4. 音声を聞きながら、この惑星における人間のあり方について、見つめなおす/深く思いをはせる/静かに考える。
5. トラックをコントロールする。巻き戻し、早送り、一時停止などはここで。
6. 学びを助けるカードが印刷されます。クリックすると拡大します。

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デジタル・ブックレット

人新世のための音響プラネタリウム・モジュール(APMA-2000)についてより詳しく知りたい方は、デジタル・ブックレットをご覧ください。

s1.fl.platisher.jp

デジタル・ブックレット(PDF、日本語):ダウンロード

デジタル・ブックレット(PDF、英語):ダウンロード

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制作チーム

全体コンセプト、リサーチ、テキスト:佐々木剛二(日立製作所)
ウェブ・デザインと開発:Michael Pecirno(Takram), 牛込陽介(Takram)
音楽とナラティヴのディレクション:佐々木剛二(日立製作所)
サウンド・エンジニアリング:Sam Conran, 鹿島隆充(サウンズネクスト), 鈴木惇也(サウンド・アーツ)
日本語ナレーション制作支援:長倉シュタッフ牧子 (FM BIRD)
サウンド・デザイン:Sam Conran
デジタル・ブックレット:井下洋祐(日立ドキュメントソリューションズ)、大鰐亮(日立ドキュメントソリューションズ)

対話

このプロジェクトにかかわるコンセプト、テキスト、そしてビジュアルは、地球システム科学と人類学にかかわる重要かつ影響力のある研究者の方々との対話にインスピレーションを得ました。特に下記の方々に心からの御礼を申し上げます。

ドイツ
Johan Rockström (ポツダム気候影響研究所 所長)
Jonathan Donges (ポツダム気候影響研究所)

スウェーデン
Henrik Österblom (ストックホルム・レジリエンス・センター教授・科学部長)
Magnus Nyström (ストックホルム・レジリエンス・センター教授・副科学部長)
Per Olsson (ストックホルム・レジリエンス・センター 准教授)

アイスランド
Gísli Pálsson (アイスランド大学 名誉教授)

*いずれも役職は 2022 年 10 月当時。

協力

制作チームは、本ウェブサイトの研究と制作に関するご支援について、下記の個人と団体に感謝の意を表します。

IPCC(気候変動に関する政府間パネル)
IPBES (生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学・政策プラットフォーム)
ローマ・クラブ
ストックホルム・レジリエンス・センター
ポツダム気候影響研究所
SeaBOS
Oxfam International
Wendy Broadgate (Future Earth)
Frank Geels(マンチェスター大学)
Terry Irwin(カーネギー・メロン大学)
在日スウェーデン大使館
Dan Hill(メルボルン大学)

お問い合わせ

日立製作所研究開発グループ

ウェブサイトについては、日立製作所研究開発グループの「お問い合わせ」フォームにご連絡ください。

URL: https://www8.hitachi.co.jp/inquiry/hqrd/rd/jp/form.jsp

関連コンテンツ

人新世のための音響プラネタリウム・モジュールにおいて語られるプラネタリー・バウンダリーズやトランジションの研究の最前線、そして日本における変革の手がかりについて、より詳しく知りたい方は、下記のビデオをご覧ください。Benyamin NussやWac-Loungeが音楽を担当します。

ビデオ:
「自然と調和する世界をめざして:プラネタリー・バウンダリーズと日本のトランジション」

出演:
ヨハン・ロックストローム(Johan Rockström, ポツダム気候影響研究所 所長/ポツダム大学 教授)
武内和彦(地球環境戦略研究機関(IGES) 理事長/東京大学 特任教授)
フランク・ヘルシュ(Frank Geels, マンチェスター大学 教授)
城山英明(東京大学 教授)
上山隆浩(岡山県・西粟倉村 地方創生特任参事)
鈴木朋子(日立製作所 技師長)
ベンヤミン・ヌス(Benyamin Nuss, ピアニスト・作曲家)
佐々木剛二(日立製作所 主任研究員)

制作:日立東大ラボ

協賛:日立製作所研究開発グループ(協創の森ウェビナー)

画像: 自然と調和する世界をめざして:プラネタリー・バウンダリーズと日本のトランジション www.youtube.com

自然と調和する世界をめざして:プラネタリー・バウンダリーズと日本のトランジション

www.youtube.com

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